はじめに
電動工具を使用してのクラフトには常に危険が伴います。組み立てや使い方を誤ると、大きな怪我をする可能性があります。この記事は、各工具の基本的な使い方に習熟していることを前提として執筆しています。ゴーグル・軍手・マスクをつけて、騒音対策も含めて十分に気をつけて、自己責任で作業を行ってください。とくに丸カンをカットする際には、熱が発生するほか、金属の粉塵が周囲に飛び散ります。吸い込んだり、目や口に入ってしまうと健康被害があるかもしれません。家庭内での作業は、あまりお勧めしません。それでも丸カンを切りまくりたい!という方に、この記事をお届けします。
電動ドリルでコイルの作成
カンメーカーのマンドレル(心棒)の穴にワイヤーを通し、電動ドリルにセットします。
専用のマンドレルでなくとも、編み棒などの丸い棒であればなんでも代用できます。
あとは電動ドリルを作動させて、ワイヤーをマンドレルに巻きつけていきます。
手動で巻きつけるよりも圧倒的に早く、力を入れずに巻く事ができます。
スイッチの押し具合で速度を無段階に調整できるタイプのドリルを使うと加工しやすいです。
どれぐらい巻くか
マンドレルのおよそ10cmの場所に印をつけて、それを目安に巻くようにしています。Koil Kutterで切れる長さが10cm程度までという理由もありますが、丸カンの数の目安にもなります。例えば、線径1mmのワイヤーの場合、10cm(100mm)のラインまでコイルをまけば、だいたい100個の丸カンを製作できるということになります。
Dremel用Koil Kutterの個人輸入
丸カンを効率よくカットできるツール、Koil KutterをPotter USAにて購入しました。
購入したのはもう1年以上前になりますが、当時は注文から1週間と、アメリカからの発送の割にはかなり早く到着しました。
ポストへの投函になる予定でしたが、ポストに入らないサイズだったようで郵便局員が手渡ししてくれました。
このKoil Kutterという金具キットとDremelを組み合わせて丸カンをカットしていきます。
丸カンのカット
刃をセット
Koil Kutter専用刃をドレメルにセットします。
保護具をセット
Koil Kutterの保護具をドレメルにセットします。
このとき、カット台用のプレートを合わせ、隙間から刃がきちんと出るように調整します。
うまく調整できたら、ネジを締めて固定します。
コイルをセット
コイルを専用台にセットし、刃の保護のために専用ワックスをたっぷり塗布します。
この際、短くカットした竹串に養生テープを旗のようにつけたものをコイルに通しています。
これは必須ではないのですが、通しておくと、カット済みの丸カンを拾うのが楽になります。
いよいよコイルをカット
専用台にプレートを乗せてピンを締め、いよいよカットします。
防振と、念のため火花等が発生した際の熱対策のために、耐熱マットを敷いています。
また、粉塵の飛散を軽減するために、使い捨てのシャワーキャップをかぶせています。
シャワーキャップはあまり使わないほうが良いと思います。
しかしながら、これを使わないとかなり広範囲に金属粉が飛び散り、あまりにも片付けが大変になりすぎるので使用しています…。
もし万一、火花が散れば溶けてしまいますし、刃の回転等による風圧で巻き込まれる可能性もありますので、気をつけてください。
ドレメルの電源を入れ、スッと工具を横に動かすと、あっという間にコイルが丸カンの状態になります。
ちょっとコツが要りますが、慣れればそれほど手間ではありません。
慣れるまでは丸カンを切断しきれなかったり、刃が中央に来ていなかったり、動かし方が悪くてよけいな傷が入ってしまうこともあるかと思います。
検品
竹串から丸カンを外し、切れているかチェックします。
コイル状に固まっている丸カンをバラして、茶漉しに入れます。
必要であればカットを繰り返し、日本人で良かったと思いながら茶漉しに入れていきます。
もちろんこの茶漉しは丸カン専用にしており、食用とは兼用していません。
茶漉しでなく、金属加工専用のバスケットもありますが、それなりのお値段がします。
筆者個人で扱うぶんには茶漉しでも不便を感じていません。
洗浄
先ほど丸カンを茶漉しに入れた理由は、この超音波洗浄のためです。
丸カンをサイズ別に茶漉しに入れてから超音波洗浄機に入れることで、サイズの異なる丸カンを複数同時に洗浄できます。
また、洗浄後の水洗いや乾燥の際も、茶漉しがあったほうがスムースです。
(この画像では直径70mmの茶漉しを使用しています)
丸カンの量に応じ、中性洗剤を入れて、数分間洗浄します。
丸カンのワックスの残り具合やメッキの有無等にもよりますが、2-3分運転する異が多いです。
乾燥
洗浄が終わったら、乾燥させます。筆者はまたまた日本人で良かったと思いながら、丸カン1つ1つを検品を兼ねながら今治手ぬぐいで拭き取っています。やわらかい布であればだいたい大丈夫だとは思いますが、表面に傷がつくのが気になる場合は、ジュエリー用のクロスで丁寧に磨くほうが良いと思います。気になる場合は、丸カンを開き、断面をヤスリで磨いてバリをとります。
完成
しっかり閉じる丸カンが完成しました。
一度自分で丸カンをカットし始めると、いつでも必要なサイズを作れる利便性や、何よりとにかくぴったり閉じられる喜びが癖になり、市販の丸カンを使用する気が全く起きなくなります。
それなりに手間はかかりますが、それに見合うだけの価値があると感じています。